労働問題でお困りの方

当事務所では、労働者の代理人として、使用者側と交渉をしたり、労働審判の申立てを行なったり、あるいは、民事訴訟を提起したりすることで、使用者との間で生じる様々な紛争の解決を図るべく活動しております。もし、皆様や皆様のご家族が、勤務先との間で様々なトラブルを抱えていらっしゃる場合には、まずはお気軽にご相談いただきたいと考えております。

そこで、以下では、勤務先とのトラブルの代表的な例をいくつか挙げて、その解決方法等についてご説明いたします。

1. 未払残業代等の請求について

いわゆるサービス残業と呼ばれ、一時、社会問題にもなった未払残業代の問題は、現在においても、残されたままとなっています。

もし、皆様が勤務先からそのようなサービス残業を強いられ、未払残業代等を請求したいとお考えの場合には、何はさておき、賃金算定を基礎付ける資料(給与明細や給与規程等の他、残業代不払いの場合には、労働時間の実績を明らかにするタイムカード、業務日誌等)を確保することがとても重要です。ご自身で確保することが難しい場合には、裁判所の手続(証拠保全手続等)を利用して証拠を確保することが可能な場合もありますので、諦めずに、ご相談下さい。

このようにして、必要な資料を確保したうえで、まずは、内容証明郵便等により、使用者に対して、未払賃金を請求します。

それでも、使用者が未払賃金を支払わない場合には、労働基準監督署(以下「労基署」といいます)に申告して、労基署から使用者に対して調査をしてもらったうえで、賃金の支払いを勧告してもらうという方法があります。なお、賃金不払いは労働基準法違反であり、30万円以下の罰金が科される犯罪です(労基法120条1号)。

使用者が、労基署からの勧告にも従わずに、賃金を支払わないときは、労働審判の申立てや、最終的な手段として、民事訴訟を提起して、未払賃金の支払いを請求することになります。

ところで、いわゆる「管理職」の場合には残業代を請求できないという考えが巷に流布されているようですが、これは全くの誤解です。単なる名ばかりの「管理職」である場合には、残業代の支給対象となる可能性がありますので、この点に疑問をお持ちの方も、自分は「管理職」だからという理由で、残業代が支払われないのは仕方がないと諦めずに、一度、ご相談下さい。

ちなみに、退職手当を除く賃金請求権の消滅時効期間は新労基法(115条、143条、改正法附則 3 条)のもとで、 2 年から 5 年(当分の間 3 年)に延長されました。

2. 退職金について

退職金が支給されるためには、原則として、勤務先の就業規則や雇用契約等に根拠となる規定があることが必要で、会社を退職すれば、勤続年数に応じて、当然に退職金が支給されるというわけではありません。

もっとも、就業規則や雇用契約書等に根拠となる規定がなかったとしても、それまでに退職者に退職金が支給されてきたという慣行があったり、使用者と個別の合意がある場合には、会社に退職金を請求することが可能となる場合があります。

そこで、もし、皆様が退職した会社が退職金を支払ってくれず、会社に対して退職金を請求したいとお考えの場合には、まずは、退職金請求の根拠となる資料(就業規則の退職金規程や雇用契約書等)を確保することがとても重要です(就業規則が労基署に届け出られている場合には、管轄労基署において、閲覧を求めることができます)。

ご自身で確保することが難しい場合には、裁判所の手続(証拠保全手続等)を利用して証拠を確保することが可能な場合もありますので、諦めずに、ご相談下さい。

このようにして、必要な資料を確保したうえで、まずは、内容証明郵便等により、使用者に対して、退職金の支払いを請求します。

それでも、使用者が正当な理由なく退職金を支払わない場合には、労基署に申告して、労基署から使用者に対して調査をしてもらったうえで、退職金の支払いを勧告してもらうという方法があり、さらに、使用者が、労基署からの勧告にも従わずに、退職金を支払わないときは、労働審判の申立てや、最終的な手段として、民事訴訟を提起して、退職金の支払いを請求することになるのは、未払残業代等の請求の項目で記載したとおりです。

ちなみに、退職金債権は、5年間で時効により消滅しますので(労基法115条)、未払いの退職金のご請求をお考えの方は、ご注意下さい。

3. 解雇(雇い止めを含む)・退職強要について

長引く不景気の影響により、我が国全体において、従業員に対する退職強要や解雇(いわゆる正社員の場合)あるいは雇い止め(正社員以外のいわゆる契約社員等の場合)をめぐるトラブルが多く発生しています。

もし、皆様が、勤務先から、突然、退職を強要されたり、解雇あるいは雇い止めを通告されたりした場合、なるべくお早めにご相談下さい。

(1)退職強要の場合

皆様が勤務先から退職を強要されたとしても、皆様には、それに応じる義務は一切ありません。にもかかわらず、使用者が退職強要を執拗に継続するような場合、そのような退職強要行為自体が不法行為となり、損害賠償の対象となることがあります。

(2)解雇の場合

解雇とは、法的には、使用者による一方的な労働契約の解約のことをいいますが、使用者が従業員を解雇する場合には、正当な理由が必要であり、正当な理由を欠く解雇は、解雇権の濫用として無効となります(労働契約法16条)。

しかし、これまで、個別の法令における解雇禁止条項に抵触しなければ、自由に労働者を解雇できるとか、労基法20条の解雇予告をしたり、解雇予告手当を支払えば、自由に労働者を解雇できるなどという誤解に基づいて労働者を解雇する使用者が多く存在し、このような使用者による解雇をめぐるトラブルは、現在においてもなくなっていません。

もし、皆様が、突然、勤務先から解雇を通告されて納得がいかない場合に特に重要なことは、

①使用者に解雇理由を書面等により明示させること
(勤務先の業績不振によるいわゆる整理解雇の場合には、(a)人員削減の必要性、(b)解雇回避の努力、(c)人選の合理性、(d)説明・協議義務の履行の4つの要件(要素)を満たす必要があります)

②退職を前提とした行動をとらず、就労の意思を書面等により明らかにすることです。

そして、当事務所に使用者との解雇をめぐるトラブルの解決をご依頼いただいた場合、まずは、内容証明郵便等を送付し、解雇の無効を主張して、使用者側と示談交渉を行います。

それでも解決しない場合には、現在では、労働審判の申立てを行うことが有効となっています。労働審判は、3回以内の期日で審理を終結するため、使用者との紛争の早期解決が期待できる手続です。

仮に、使用者との間で調停が成立しない場合でも、裁判所が、使用者に対し、労働契約の終了と引き換えに金銭給付を命じる審判を行うことができるとされていますので、以前は早期解決を求める場合、労働契約上の地位保全及び賃金仮払いの仮処分の申立てがなされることが多かったのですが、最近では労働審判の申立てが多くなっており、かなりの数の事件が労働審判の手続により解決されています。

したがいまして、皆様が勤務先から解雇を通告された場合で、解雇の無効を主張したい場合や、復職は望まないが、金銭補償を求めたい場合には、上記の労働審判の申立てによる早期の解決を得られる可能性がありますので、まずはご相談下さい。

(3)雇い止めの場合

雇い止めとは、期間の定めのない労働契約(いわゆる正社員の場合)ではなく、期間の定めのある労働契約(いわゆる契約社員等の場合で、このような労働契約を有期契約といいます)において、契約期間の満了時に、以後の契約の更新を行わないことをいいます。

このような雇い止めの場合でも、それまでに何度も契約更新がなされていた場合や、そもそも契約期間を明示する契約書をきちんと作成していないような場合には、解雇権濫用の法理が類推適用され、雇い止めが無効とされる場合がありますので、雇い止めに納得がいかない場合にも、是非一度、ご相談下さい。

なお、契約期間途中にもかかわらず、正当な理由なく解雇することができないのは当然であり、むしろ、有期契約における契約期間途中の解雇の有効性は、期間の定めのない労働契約の解雇に比べて、より一層厳格に判断されます。

4. その他のトラブルについて

上記でご説明した他、配転命令等の人事異動に関するトラブル、職場におけるセクハラやパワハラに関するトラブル、過労死や勤務中の事故等により労災の適用が問題となるトラブルなど、皆様が勤務先との間でトラブルを抱えていらっしゃる場合には、まずはお気軽にご相談下さい。